
この記事について
この記事は、「AIエージェントという言葉を聞くけれど、自分の会社で何に使えるのかがよく分からない」という経営者・担当者の方に向けて書いています。むずかしい言葉はできるだけ使わずにお話しします。内容は2026年10月31日時点の情報です。
朝、パソコンを開いて「今月の売上を、事業ごとに教えて」と打ちこむ。
数秒後、事業ごとの売上が表になって返ってくる。
これまでなら、担当者に頼んで、いくつものエクセルを開いて、数字を集めて、表にまとめて……と、半日かかっていた作業です。それが、話しかけるだけで終わる。
「技術革新」と聞くと、大きな工場やロボットを思い浮かべるかもしれません。でも、本当の技術革新は、毎日の「探す・集める・まとめる」がなくなる瞬間に起きます。それを実現するのが、この記事でご紹介する「社内のAIエージェント」です。
この記事では、AIエージェントとは何か、いつもの仕事がどう変わるのか、そしてメリット・注意点と向いている会社を、弊社で実際に使っているシステムの例を交えてご紹介します。
「探す・集める・まとめる」に、毎日どれだけ時間を使っている?
「先月の請求書、どこに保存したっけ?」「あのお客さまの問い合わせ、だれが対応した?」「今月の残業、みんなどれくらい?」
こうした確認のたびに、ファイルを探したり、人に聞いたり、数字を集め直したりしていませんか。ある調査(2023年・大企業の社員400人)では、社員が社内の情報を探すのに使う時間は、1日平均1時間5分という結果が出ています。

1年間(240日勤務)に直すと、約260時間。1日8時間働くとすると、約1か月分を「探すこと」に使っている計算です。データがエクセル・紙・メール・いくつものツールに散らばっている会社ほど、この時間は長くなりがちです。
AIエージェントとは? チャットのAIとのちがい
ChatGPTのようなチャットのAIは、「とても物知りな社外の相談相手」のようなものです。一般的な知識にはとても詳しいのですが、あなたの会社の売上や、昨日の問い合わせのことは知りません。
一方、社内のAIエージェントは、会社の資料室や台帳をすべて見られる、頼れる秘書のような存在です。話しかけると、自社のデータを見に行って答えてくれます。さらに、表にまとめる、CSVで取り出すといった作業までこなします。

「答える」だけでなく「調べて、まとめて、渡してくれる」。ここが、AIエージェントのいちばんのちがいです。
弊社で実際に使っているAIエージェント
弊社では、社内のデータに話しかけて聞ける「ZEN AIエージェント」を自社で作り、毎日の仕事に使っています。画面はとてもシンプルで、入力欄に聞きたいことを書くだけです。

たとえば、次のようなことを聞くだけで答えが返ってきます。
- 今月の売上を事業別に教えて/前年同月と比べて伸びている事業は?
- 直近12か月の事業別売上をCSVで取り出して
- 今月支払う請求書と、合計金額は?
- まだ対応していない問い合わせを教えて
- 今日まだ日報を出していない人は?/今月の残業時間は?
- 今日の予定と、空いている会議室は?
- 最近アップロードされた資料を教えて
これができるのは、売上・請求・問い合わせ・日報・予定・資料といった、ふだんはバラバラの場所にあるデータを、AIエージェントがまとめて見られるようにつないでいるからです。

いつもの業務は、こう変わる
では、実際の仕事はどう変わるのでしょうか。立場ごとに、「今まで」と「これから」を比べてみます。

| 立場 | 今まで | これから |
|---|---|---|
| 経営者 | 数字の報告を、担当者がまとめるまで待つ | 気になったときに聞けば、すぐ分かる |
| 経理 | 請求書を探して、合計を電卓で計算する | 支払う請求書の一覧と合計が、すぐ出る |
| 総務 | 日報や残業を、一人ずつ確認する | 日報を出していない人・残業の多い人がすぐ分かる |
| 受付・営業 | 問い合わせの対応状況を、聞いて回る | まだ対応していない問い合わせが、すぐ分かる |
| 現場 | 資料の置き場所を、人に聞く | 「〇〇の資料は?」と聞けば出てくる |
一つひとつは小さな変化です。でも、毎日・全員の「ちょっと探す」「ちょっと聞く」がなくなると、会社全体の動きが目に見えて速くなります。「技術革新って、こういうことか」と実感していただけるのは、まさにこの瞬間です。
社内のAIエージェントを使うメリット

- 探す時間が減るファイルを開いて回ったり、人に聞いたりする時間がなくなり、本来の仕事に時間を使えます。
- 数字がすぐ出て、判断が速くなる月末の報告を待たずに、気になったその場で売上や支払いを確かめられます。
- 担当者がいなくても、答えが出る「あの人しか分からない」がなくなり、休みや退職の影響が小さくなります。
- 集計やCSV作りが楽になる毎月同じように作っていた表や、ほかのツールに渡すためのデータも、頼むだけで用意できます。
- 記録が残るだれが、いつ、何を聞いて、何を取り出したかが記録されるので、あとから確かめられます。
使う前に知っておきたい注意点
とても便利なAIエージェントですが、入れれば何でも解決する魔法の道具ではありません。次の点は、前もって知っておきましょう。

- まちがえることもある:AIは、聞き方やデータの状態によって、まちがった答えを出すことがあります。お金や契約にかかわる大事な数字は、元のデータでも確かめましょう。
- データを整える手間がかかる:データがそもそも記録されていなかったり、形がバラバラだったりすると、正しく答えられません。最初に整える作業が必要です。
- 見てよい人の範囲を決める:給料や個人の情報など、だれでも見てよいわけではないデータもあります。「この人はここまで聞ける」という範囲を決めておきます。
- AIの利用料がかかる:使った分だけ料金がかかる仕組みのAIが多いので、月ごとの上限を決めておくと安心です。
- 社外に出さない工夫をする:社内のデータを扱うので、入れた内容がAIの学習に使われない設定や、社外に出さない仕組みが大切です。くわしくは社員がAIを使う前に決めておきたいルールの記事もご覧ください。
社内のAIエージェントが向いている会社

- データが、エクセル・紙・メール・いくつものツールに散らばっている会社
- 事業や店舗・拠点が複数あり、数字をまとめるのに手間がかかる会社
- 少人数で、経理・総務などの管理の仕事を回している会社
- 問い合わせや予約が多いクリニック・お店
反対に、データがまだほとんど記録されていない会社は、AIエージェントの前に、まず記録する仕組みを整えるところから始めるのがおすすめです。
なぜ「オーダーメイド」なのか
AIエージェントは、パッケージを買ってきてすぐに使える、というものではありません。会社によって、使っているツールも、データのしまい方も、仕事の流れもまったくちがうからです。
そこで弊社では、いま社内で使っているAIエージェントの仕組みをもとに、企業さまごとにオーダーメイドで設計し、導入する仕組みを開発しています。その会社のデータとつなぎ、その会社の言葉で聞けて、その会社のルールで見てよい範囲が決まっている。そんなAIエージェントです。

- お話を聞くどんな仕事に時間がかかっているか、どんなデータをどこに保存しているかを伺います。
- つなぐデータと、見てよい範囲を決めるまずは効果が大きいところから。だれが何を聞けるかも、ここで決めます。
- 試作する実際のデータの一部で、聞いて答えられるかを確かめます。
- 社内で試す一部の方に使っていただき、聞き方や答え方を整えます。
- 本番で使いながら見直す使うほど「こんなことも聞きたい」が出てくるので、少しずつ広げていきます。
AIエージェントで、どんな未来になる?
AIエージェントは、すでにさまざまな仕事に入り始めています。たとえばソフトウェア開発の世界では、2026年9月、世界最大級の開発サービス「GitHub」で作られた変更の提案のうち、4割以上がAIエージェントの下書きから始まっていたと発表されました。

これからの会社では、「調べる・集める・まとめる」はAIエージェント、「決める・話す・確かめる」は人、という役割分担が当たり前になっていくはずです。社員一人ひとりに、何でも知っている秘書がつくような働き方です。
さらに、予約の受付や顧客管理のシステムとつながれば、「来週の予約で、初めてのお客さまは?」「最近来ていない常連さんは?」といったことまで、聞くだけで分かるようになります。人手が足りない中小企業やクリニックこそ、この変化の恩恵を大きく受けられると弊社は考えています。
お困りの方は、ご相談ください
弊社では、社内で使っているAIエージェントを、企業さまごとにオーダーメイドで導入する仕組みを開発中です。提供に先がけて、ご相談を受け付けています。
- 自社の仕事のどこにAIを組み込むと効果が大きいか、一緒に整理したい
- 散らばっているデータを、まず整えたい
- 顧客管理・事業管理のシステムを、自社に合わせて作りたい
- AIを安心して使うためのルールや設定を見直したい
自社に合わせたシステムの導入には、補助金が使える場合もあります。くわしくは補助金の記事もご覧ください。「うちの会社でも使える?」という段階のご相談でもかまいません。お気軽にお問い合わせください。
参考:Helpfeel「社内情報の検索に関する調査」(2023年・従業員2,000人以上の企業の社員400人)/GitHub「Octoverse」(2026年10月発表)
※情報を探す時間の年間換算は、年240日勤務・1日8時間として弊社が計算したものです。
※2026年10月31日時点の情報です。